うんすんカルタ

  16世紀半ば、日本に渡来したポルトガルの船員たちが使っていた
  カード遊びが日本人に伝えられました。これが「南蛮カルタ」と呼
  ばれるものです。
  その後、日本人の手で一部修正したものが現れました。これが「天正
  カルタ」です。
  元禄の終わりか宝永の始めころに、更にこれを改良した「ウンスン
  カルタ」が生まれました。ウンとかスンというのは札の名称です。

  寛政の改革のとき、一切の遊興が禁止されこの遊びも全国的に弾圧
  されたのですが、不思議なことに日本でただ一カ所、この九州の一隅、
  球磨・人吉地方だけにこの遊びが残り、今日まで伝えられてきたのです。

  昭和54年、若いものでこの遊びを引き継ごうと、保存会の方々の指導
  を受け、人吉市教育委員会の協力もいただいて実演を試みたのですが、
  このカルタは全国のどこでも製造されていないため、札がなくては練習も
  できないわけで、啓蒙、普及活動も困難だということになったのです。

  そこで、人吉市教育委員会の好意を得て、教育委員会所蔵のウンスン
  カルタ(京都の天狗堂作製)を手本にして手書きの札をつくり、それを
  原稿にしてウンスンカルタを印刷したのです。

  


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